トリガーポイントってなに?
トリガーポイントとは「痛みの引き金点」のことを言います。
拳銃の引き金(トリガー)を引くと、弾が飛んで遠く離れたところに当たるように、痛みやシビレも、発生原(トリガーポイント)から遠く離れたところに症状を感じることがあります。
ご相談の多い緊張性頭痛の事例
- 肩が凝りすぎて、頭や目の奥が痛い
- 脳外科で検査をしてもらったけど「とくに異常はない」と言われた
- 症状の原因が「肩こりからきてる」と診断を受けた
- 実際に肩をほぐしたら、頭痛が治った
痛みは「頭や目の奥」に感じていたのに、じつは「肩の筋肉の緊張」から起きている症状だった… というように、症状を「実際に感じている部分」と、症状の「引き金になっているポイント」が異なるケースは実は少なくないのです。
この事例では、肩や首すじのトリガーポイントが、頭やコメカミ、目の奥の痛みなど緊張性頭痛の引き金点だったというわけです。かねたバランス接骨院では20年来、この痛みの引き金点「トリガーポイント」に重きをおいた施術に取り組んでおります
当院がトリガーポイントを重視する理由
生理学的な根拠がしっかりしており、痛みの悪循環から抜け出すために重要かつ効果的なアプローチだからです。
「こんなに腰が曲がっていて、背骨が歪んでいても、痛みがない人もたくさんいるけど…」「関節の変形もヘルニアも、画像上は何も変わっていないのに、痛みやシビレだけは回復しちゃった…」「骨折しているのに、別に痛くはないだって…!?」
これまでの経験のなかでたくさんの勉強をさせていただきました。そして、学べば学ぶほど、理論と臨床現場での食い違いに気づき、より素朴な疑問がわき起こりました。
「そもそも痛みって、なんだろう?」 「どうして痛むのか? 痛い時からだの中では、一体何が起きているのか?」 「どうして治るのか? いろいろな治療があるけど、それをすることで体の中ではどんな変化が起きているのだろうか?」 このような素朴かつ根本的な疑問を解消するために、「まずは基礎的なこと、痛みの仕組みや痛みの神経生理学的なメカニズムを一から学び直そう!」と思い立ったのが始まりでした。
痛みの神経生理を学ぶ過程で、「痛みは医療機関に通う一番のキッカケではあるが、じつは痛みについてよく分かっていなかったこと」「昨今、痛みの研究がすすみ、たくさんの”新しい事実”が明らかになってきたこと」を知り、まさに目から鱗が落ちたことを覚えております。一部ご紹介いたします。
痛みの理学療法学研究会代表:愛知医科大学教授 熊澤孝朗
「現在、日本では筋骨格系のほとんどが骨や関節の問題として扱われていることが常であり、筋痛症候群に対する理解は低い。多くの医療者の中に慢性痛や筋肉に対する概念がほとんどないのは悲しい現実である。「痛み止めとシップで様子を見ましょう」この不適切な処置を続けるうちにも、慢性痛は悪循環路線を進み、どんどん悪化の一途をたどっていくこととなる」
名古屋学院大学リハビリテーション学科:松原貴子先生
「現在、日本では筋骨格系のほとんどが骨や関節の問題として扱われていることが常であり、筋痛症候群に対する理解は低い。多くの医療者の中に慢性痛や筋肉に対する概念がほとんどないのは悲しい現実である。「痛み止めとシップで様子を見ましょう」この不適切な処置を続けるうちにも、慢性痛は悪循環路線を進み、どんどん悪化の一途をたどっていくこととなる」
研究者によっては、明らかな外傷や重篤な病変を除けば、痛みやシビレの90%は「筋肉や筋膜のトリガーポイント」が関わっていると言われているくらいです。 このような「新しい事実」を学んだからこそ、「筋肉筋膜のトリガーポイント」と「脳の鎮痛機能の回復」シンプルに、より効果的なこの2つのアプローチを重視し、全力で取り組んでいるのです。
私の症状でも大丈夫??
明らかな外傷や重篤な病変がないかぎり、ほとんどのケースはトリガーポイントと脳のリハビリ(認知行動療法)で回復する可能性があります。
関節の内部に痛み神経はほとんどなく、筋肉や筋肉を包む膜(筋膜)を中心に、関節周囲の軟部組織にたくさん分布しております。 爪や髪を切っても痛くないのは、痛み神経がないからです。それと同じように、関節の中にある軟骨もすり減ろうが欠けようが、それ自体痛みを出すことはありません。痛み神経も血管もないからです。 ですので、関節に痛みを感じて検査を受けたら「関節が変形しているから」とか「軟骨がすり減っているから」などと説明を受けてもそれほど心配しなくても大丈夫です。
画像で見せられた異常や変形にとらわれず、関節の周りにある軟部組織に丁寧にアプローチしてみる価値は大いにあります。 下図の参考例をご覧いただき、気になるようでしたらぜひ一度ご相談ください。
症例1
背中の苦しさや背中がつるような感覚、そして、時 にピリッと胸まで刺さるような症状を訴えます。 「肺とか心臓が悪いのかと思って、いろいろ検査を 受けたけど、特に異常はないと言われたり、肋間 神経痛などどいわれて…」 腸肋筋のアプローチで改善しました。
症例2
骨盤周囲の腰の痛み、ふとももにかけての重苦しさ があり、立ち上がりや中腰が困難になります 歩くのはもちろん、とくに階段や坂を上ったり、し ゃがみ立ちがつらくなることもあります。
脚の重苦しさ、鈍い痛み、シビレ感を感じて検査を受け「ヘルニアや狭窄症で神経が圧迫されているから、手術を」と説明を受けたり、ひどくなると苦しくて眠れない、などの訴えも多いです。
このあたりの股関節やお尻周囲のトリガーポイント を丁寧に処置することで、画像上の異常はそのまま でも、痛みやシビレ症状が改善し、手術を回避でき た方もたくさんいらっしゃいます。
どんな治療をするの?
徒手による施術を中心に、筋肉の中にできた異常硬直(コリ・ひきつり)をゆるめたり、血流を改善させたり、痛み神経の興奮を鎮めていきます。 トリガーポイントによる主な症状は「痛み」と「シビレ」です。 そして、その時に患部で起きていることは「神経の興奮」による「筋のひきつり」と「組織の局所的な酸欠」です。
ですので、アプローチとしては「ひきつった筋をゆるめる」ことと「血流を改善し、酸素が十分に運ばれるようにする」こと、そして「神経の興奮を穏やかに鎮める」ことが主となります。 これにより、活性化し暴れているトリガーポイントを穏やかにし、痛みの悪循環を断ち切ることが回復につながります。
具体的な流れ
1)トリガーポイントマッサージ 「そこそこ!」と知覚するポイントを「痛いけど心地よい」程度に、数秒から十数秒、圧迫刺激をしていきます。
2)IDストレッチ(個別筋伸張法)
3)ライズトロン(高周波超短波治療器)
4)その他(ホットパック・オイルマッサージ・呼吸法・リラクゼーション法など)
とくに徒手による施術は大切にしております 注射と比べても劣らない効果も期待できますし、何より「手で触れられている感覚」「心地よい感覚」が、脳の鎮痛機能まで元気にしてくれますからね。
参考サイト
「腰痛患者63名を4群に割り付けてトリガーポイント注射の有効性を調べたRCT(ランダム比較試験)によると、疼痛改善率は鍼治療群や冷却スプレー+虚血圧迫群より、トリガーポイント注射(局所麻酔剤・局所麻酔剤+ステロイド)群のほうが低いことが判明」