長引く腰痛患者に届けたい心のトレーニング方法
007 「からだを動かしてみよう」
動けば必ず何かが変わります。 動けば必ず何かが分かります。 動けば必ず何かが身につきます。
動くことによって、あなたは強くなってきます。
~多湖輝
世界最先端のいたみ研究が、「身体を動かすこと、運動療法が最も有効である」ことを明らかにしております。
いわゆる運動や体操に限らず、いつもと違った動作・行動をしてみることが、いつもと違う結果を出す基本といえるのでしょう。
「そうはいっても、痛いから動けないんだ…」「痛みを治すことが先、治ってから動く…」
長引く症状から抜け出せない方の多くは、このような考えで、同じ場所にとどまります。
これは痛みそのものよりも、痛みがヒドクなるのではという不安や恐怖からくるもの。
痛くなるのではという予測(ネガティブな思考) → 不安・恐怖(ネガティブな感情) → 動かさない・必要以上に安静にする(行動) → 機能の低下 → 痛み過敏・できることが少なくなる → 動いたら痛くなるのでは…
このような “不安や恐怖から逃げることによる悪循環”(恐怖‐回避モデル) を、いかにして断ち切るか?
ネガティブな思考や感情を変えられたら最高ですが、
現実は、時間もかかり なかなか難しいもの。
思考と感情を変えるのに、もっとも役に立つのは、動いて立ち位置を変えてみること。
いつまでも同じ場所にいては、同じ景色しか見えません。
痛いなりに、今できることから始めてみる。 完璧じゃなくてもいいから、ほんの少し、小さなことからでも始めてみちゃう。
この姿勢が、将来を分ける大きなポイントになるのです。
~ 今日からできる心のトレーニング ~
すでにできていることから始めてみる
運動による鎮痛効果は、全身的に及びます。
痛いところを何とかしよう! と固執するよりも、すでに痛みもなく動かせていることから始めてみるのも ひとつの手です。
たとえば、肩が痛くて腕をあげられない場合。
「腕をあげられるように…」と、患部の運動にこだわらず、 ウォーキングやスクワットなど、足腰・全身を動かす運動から始めてみる。
反対に、足腰が痛くて動かすのが怖いのであれば、腕や上半身を動かす運動から始める。
大切なのは、できないことにクヨクヨしているより、できることを探して、一歩進んでみる心の持ちようです
変わりやすいところ 取り組みやすいところから始める
完璧主義は痛みを長引かせます。
もちろん、一気に100点!パーフェクト!を達成するような 「本質的な問題」に ピンポイントで取り組めたら最高です。
でも、現状、10点位のことしかできない状況で、いきなり100点を目指して取り組んでみても
「やってみた→できなかった」と、自信喪失、自己嫌悪のパターンに。
これでは、ますます身体を動かす意欲が低下します。
本質や完璧にこだわらず
「変化を引き起こしやすい行動習慣は?」「本人が取り組みやすい日常の活動は?」「改善を実感しやすい方法は?」と
実現可能なテーマを設定する視点が大切です。
目指すのはほんのちょっと上のこと
10点しかできないなら、11点を。 いきなり完璧を目指さずに、今の私より、ちょっとだけ向上
そのために何が出来そうか?を探してみましょう
不安リストをつくってみる
あえて、不安や恐怖を感じる動作・動き・活動・運動(以下 動きと略)を思いつく限り書き出してみましょう。
そして、書き出したそれぞれの項目に「不安点数」をつけてみます。
まったく不安も恐怖も感じない動きには0点を。 これは絶対無理!死んじゃう!白目向いて気絶しちゃう! というものを100点満点として、
ご自身の感覚でチェックしてみます。
お察しの通り、
このリストの活用法は、不安点数の小さい項目から、順に取り組み始めていくのですが、 ここでヒント。 ちょっとだけ視野を広く。
同じ動きでも、回数や時間、動く範囲や負荷量を小さくすることで、不安点数は変わってきます。
100回では無理でも5回なら。
30分は厳しいけど10分なら何とか… いや5分くらいなら大丈夫でしょ。
なんて風に。
点数が小さくなるように、自分なりに「これくらいならイケそうかな」というポイントを見つけて、クリアしやすくする
そんなこともおススメです。
イメージトレーニングから
どうしても行動するのが怖いのであれば、まずはイメージトレーニングから始めてみましょう。
目を閉じて、ゆったりとした呼吸を意識しながら、その動作をしている自分をイメージしてみる。
ポイントは「上手くできている自分」をイメージすること。
はじめは難しいかもしれませんが、繰り返し練習することで、次第に「できている自分」を強くイメージできるようになってきます。
と同時に、その動きに対する怖さにも慣れてくる(不安点数が下がってくる) ことに気がつくでしょう。
穏やかな呼吸は、不安などのネガティブ感情も穏やかにしてくれます。
さらに続けることで、「ちょっと取り組んでみようかな」という気持ちがわき起こってくる。
そんなことにも気がつくかもしれません。
日記をつける
トレーニング日記をつけるのもアリ!
詳細は「日記をつける ~トレーニング日記編」あたりで後ほど。
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